ヘンリーに入社しました(8ヶ月前に)

この記事は株式会社ヘンリーAdvent Calendar 2023の17日目の記事です。昨日は @sumirenカフェをぶち抜くコーヒーは誰でも淹れられる という記事でした。

u1です。2023年の4月に株式会社ヘンリーに入社しました。 書こう書こうと思っていたけれど筆不精と時の流れが速すぎたのもあって気がついたら年末になっていたというオチです。 しかし採用面接もやることが増えてきて、なぜ今の仕事をしてるのかを問われることも多くなってきましたし、ちょうど振り返りするにも良い時期ということで入社エントリー兼振り返り記事を書くことにしました。

何を考えて転職したのか

ここ4,5年ぐらい金融サービスの開発・運用をしていましたが、40歳という節目になったタイミングでエンドユーザーとの距離の遠さからくる手触り感の無さやWeb3.0界隈の流れがいまいち好きになれなかった事もあって、次のステップを考えようとちょうど去年の11月ぐらいに考え始めてました。

そこで自分がここまで触れてきたサービス開発の中で譲れない条件、譲ると後からボディーブローのように効いてくる条件の洗い出しをしたところ、あまりひねりもないですが以下の5つを達成してる市場・サービスを探すことにしました。どれか一つでも欠けてる・ハマってないと最初のスタートはうまくいっても途中からプロダクト運営・組織運営が辛くなるのはここ5年で実感しており、とにかく譲らないようにはしていました。

  • 市場に明確な課題がある事
  • 課題を解いた後の市場自体が出来る限り大きい事
  • SaaSの形での提供形態であり、ソフトウェアエンジニアの価値を最大化可能なプロダクトであること
  • ビジネスモデルがしっかり説明可能なぐらいにシンプルであること
    • ここは金融市場で複雑なモデルに触れすぎて疲れていたこともあります
  • 顧客との距離が近い事

上記条件で探すとITを起点とした市場の醸成もあり、以下2種類に集約されてることに気づきました。

  • 市場自体は大きく既存プレイヤーはたくさんいるが、組織的な課題や技術的な課題があって、超えたくても超えられない壁がある。
  • まだ市場は無いが新規に作り出す

その上で市場を絞り込んだ後に会社属性としては以下の条件も追加しました。自分が楽しく仕事出来る・自分の経験を活かせる条件ですね。

  • 従業員数100人以下、出来れば30人以下で、シリーズA or Bフェーズのこれから伸び盛りな組織であること
    • 祭りが盛り上がった後から参画することがこれまで多かったこともあり、やはり早いフェーズから入りたい
  • 組織自体に自分が解ける課題があること
  • 社長/キーパーソンが組織の中で相対的に圧倒的すぎない事(孤高の人でないこと
  • 自分がワントップにならなくて済むぐらいに激強メンバーが揃っていること
  • なぜこのサービスを提供するかが明確に答えられること

そして、ここまでの条件で絞り込んだ会社の方といろいろと話を2022/11-2023/1ぐらいに話を伺ったところ、最もヘンリーがマッチしていたので入社決めたという形でした。入社決める前、2週間ぐらいはドメイン学ぶために図書館に引きこもっていたことが懐かしい・・・

なお、上記条件に対しての自分が考えていた自分にとってのヘンリーの強みは以下でした。

  • 市場自体は2000年から20年育ってきた電子カルテ市場のプレイヤーだが、市場自体は大きなブレイクスルーが出来ずに停滞気味になっており、中小病院の普及率50%程度とまだまだ伸び代自体はまだまだある。
  • 診療報酬制度の複雑さを原因として、参入障壁が非常に高い。そしてこの高さは大企業が金で殴っても超えづらい難しさの性質でもある。勝てると分かっても投資出来ない・攻める体制を取れないという状況が最もSaaSとしては強いというのがここ20年の市場を見ての自分の感覚
  • 組織自体は若く、ここ4,5年苦しんできたこと・経験してきたことを活かすことで更に伸ばせられる可能性が高いこと
  • 共同創業であり、一人のカリスマで組織運営がされていない。そしてこれを起点として情報が社内でオープンそう
  • 全社で入社時点で30人ちょっと、エンジニアも20人程度の規模だが、縣さん戸田さん など非常に強いメンバーが揃っており、元々動き自体注目していて尊敬していた @songmu がちょうど入社したところでもあり、どう転んでも自分がワントップになることは無いしフォローする側に回れる事。一人で抱えることはほんと辛い
  • 利用者に使って貰って喜んでもらえる声を直接機会が多い事

事前想定とあってたこととズレ

入社して8ヶ月(実際は3月は業務委託で仕事していたので9ヶ月)たって、事前想定との答え合わせをしてみました。 以下は想定とあっていたこと/ポジティブなポイントです。

  • 電子カルテ自体の価格の高さを起点として導入率が上がっていないという見方自体はあっていた
  • 過去によく言われてきた電子カルテのカスタマイズ性も中小病院だとそこまで重要なポイントではなく、SaaSとしてしっかり使いやすいインタフェースを提供していれば、設定の範囲でカバー可能。なので、SaaSの形態でサービス拡大自体は可能であるというのが今の自分の認識
  • 社内の情報・コミュニケーションのオープン性は思っていたよりも高かった。金融サービス会社で4年ぐらいやっていて、閉じることを前提とした動きに慣れつつあった自分のアンラーニングも求められたけど何とかついていけた
  • 市場の中でも注目されつつあり、今の規模の会社に対してとはとても思えない期待を受けることが多い
    • 時流としても電子カルテ普及率を100%に持っていく流れが厚労省・デジタル庁起点で始まっており、波も起きつつある
  • 開発メンバーの質・モチベーションも想定よりも更に高く、ちゃんと皆で分担・支援しながら仕事を進められる。組織づくりも今のフェーズから始められるのは大きい

想定外としては以下2つが大きいポイント。IT環境に関しては過去のインフラエンジニアとしての経験も活かして解き方を色々と考えられそうなので手を打つのと、複雑さに対してはうまい解き方を考えるためにももっとディープダイブしたいですね。

  • そもそも紙カルテベースの病院さんはIT環境の適切な投資がされていないし、担当者もほぼいない。そのため、電子カルテを入れてもそもそも操作出来る環境がない
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    • インターネット上のSaaSを使える環境自体が無い問題はやはり深刻。一人目情シスをどうするか問題が後数千回解かないといけないのでここの共通的な解が必要
  • 診療報酬制度の複雑さは想定よりも数段複雑。 1700ページある診療点数早見表 の複雑さは認識していましたが、そもそもこの本、見開き1ページ理解するのだけでも難易度が超絶高い日本語・・・
    • 知らない専門性を補完してもらうためにドメインエキスパートがいるというよりも、エンジニアがディープダイブしても仕様面の専門家としてのドメインエキスパートがいないと継続的な開発自体が難しい関係性
    • そしてこれだけ複雑なのでやはりバグも多く出るし開発していて想定外も多発するので多層構造のテスト整備はほんと大事

来年に向けて

入社自体は会計・レセプト範囲のPdMとして入りましたが、会社のフェーズに対して自分自身のマッチ度が非常に高く、自分自身が解ける・解くべき問題が多かった結果として、開発範囲全体を見る執行役員になりました。 ただ、まだまだ業界理解も浅いですし力不足なところも多々ある中なのも事実で、来年はよりアクティブにプロダクト課題、組織課題を壁気にせずに解きにいくことで、ヘンリー及び中小病院のIT化の飛躍の年にしていきたいと思います。 超えないといけない壁は分厚いですが乗り越えたら間違いなく世の中のためになったと誇らしく言えるサービスですし頑張ります。

また、採用自体も以下2記事にあるように急加速していますし、もちろん開発組織もこれまで通り採用していきますので是非、興味あればカジュ面でお話したいです。

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